この頃、昔の家をリフォームする、とか、解体する家から古材を集めて新しい家に使う、とか、昭和の、またはそれより前の建物に注目が集まっていますね。
私が生まれ育った家も平屋の賃貸でしたが、歴史があったようで、襖と障子に囲まれ、玄関には土間から上がると3畳の畳の部屋があり、台所は土間だったところにスノコを敷いて使っていて、できたお料理は、2段階段を上がってテーブルに持っていくような造りでした。お風呂は、私が生まれる前までは蒔を焼べていたそうですし、御手洗は勿論汲み取り、また、押入れから屋根裏に入れたり、庭の松の木の下には井戸があったり、裏から植木のトンネルを抜けるとお隣につながっていたり、また縁側が家の二方をぐるっと囲っているような家でした。
友達と家の中を走り回っていて、縁側の一枚ガラスの引き戸に思い切り手をつき、割ってしまったことがあります。怪我はしなかったものの、ガラスがすぐには調達できず、新聞紙を貼って何日かしのいだ苦い思い出があります。
障子の張替えや畳の表替えは、よく手伝っていました。というか、畳の下から意外なものが出てくるのが面白くて、邪魔をしていました。また、押入れだったところに食器棚と冷蔵庫を置いたり、ベッドを置いて使ったりしていました。
当然、ご近所の方々は皆さん顔見知りで、鍵っ子だった私のことを気にかけてくれていたようです。窓を開けたままピアノの練習をしていても、文句を言うどころか、窓の外から見ていた近所のおじさんが、「上手になったね〜」と言ってくれるような時代でした。
でも私は、お友達のモダンな家が羨ましかったようで、中学に入ると同時に引っ越した、新築のプレハブの家が嬉しくて仕方なかったのを覚えています。初めて、お部屋にドアがつき、クローゼットもあり、サッシの雨戸も新鮮でした。キッチンには、当時流行した両面ハッチ。キッチンとテーブルを食器棚の両面ハッチで仕切る造りでした。自分の部屋にベランダがあるのも、嬉しかったなぁ。  
それから何回かの引っ越しを経て、7年前、マンションに憧れている私が住むことになったのが、築50年は経っている日本家屋。
真っ白い壁と天井が良かったのに、とか、お庭があっても虫嫌いだし、とか、色々躊躇する理由はあったのですが、色んな事情で年末に引っ越しました。荷物を解きながら迎えた大晦日。すぐ前のお寺から、ゴ〜ン、ゴ〜ン、こんなに近くで除夜の鐘を聴くのは初めてで、それも毎年の楽しみになりました。
ぼろぼろ落ちるのが嫌いだった土壁ですが、吸湿性に優れ、呼吸が心地良いことに初めて気づき、お庭も少しずつ楽しみ、縁側や押入れ、床の間をフルに活用しています。
水回りだけは新品に替えてあったので使い心地よく、うちに来られた方は皆さん、和洋折衷のレトロ感に居心地が良いと言ってくださいます。寒いのは仕方ないですが、本間サイズの広さと、カビが発生しにくい風通しの良さを満喫しています。
きょうも、近所の木造住宅が取り壊されているのを見ましたが、立派な柱などが見え、ぜひ再利用してほしいなと思いました。
写真は、うちの天井と土壁と、ガラス障子です。
 
 
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追悼 林智之氏
NHK交響楽団のヴァイオリン奏者、林智之氏が、12月4日、亡くなられました。
私の小学校時代からの恩師、林靖子先生のご子息です。
今年春にご病気と伺っていましたが、屈強なお身体なので、きっとお元気になられると信じていました。それなのに、無情なお知らせ。とてもとても残念で、先生のお気持ちを思うと涙がとまりません。
私が小学生のころは、林先生はとても厳しい方で、お宅の門の前で足が止まることもよくありました。
でも、智之さんが生まれられて、レッスン中に泣きだすと、隣のお部屋へ行って、あやしたりミルクをあげたりされていて、その時は優しい母の顔になられていて、厳しい中でもホッとする瞬間でした。
幼稚園生の頃には、お母様からヴァイオリンの手ほどきを受けてられた智之さん。朝、練習して幼稚園に行き、帰ってきてもまた練習。ヴァイオリニストになるには、これほど厳しい練習が必要なのだなと、子供心に、私には無理!と思っていました。烈しい親子バトルもあったような…
でもその厳しさが功を奏し、東京芸大付属高校から東京芸大へ進まれ、NHK交響楽団へと、音楽家の中のエリートコースを歩まれ、今年N響勤続20年になられたとお喜びだったのに。
また、昨年は、うちの生徒S君が一年間東京生活になり、その間、智之先生の愛情溢れる厳しいレッスンを受け、とても上達して帰ってきました。そのお礼を言うこともできないまま…
もっともっと活躍していただきたかったのに、心よりご冥福をお祈りいたします。
門真市民コンサート
きのうは一日雨でしたが、門真市ルミエールホールでは、熱い演奏が繰り広げられました。
「ヴェネツィアより愛をこめて」ということで、ヴィヴァルディの作品の中から、ヴァイオリン協奏曲。これは、辻井淳さんのソロ。研ぎ澄まされた感性と緻密な演奏に寄り添い、続くフルート協奏曲では、ラック・ザビエルさんのロマンティックで激しい演奏に食らいついてゆく、というアンサンブルで参加させていただきました。
その前に、昨年立ち上げられたジュニアオーケストラに所属した小3のS君、ジュニアのみの「主よ、人の望みの喜びを」と、「星に願いを」に続き、小4のY君とバッハのドッペルを、こちらは大人のアンサンブルをバックに、堂々と披露しました。
昨年のAちゃんもそうでしたが、物怖じせず、いつも以上の力を出せて、しかも楽しんで弾ける、演奏家として大事な根性が座っているということでしょう。私から見ても、羨ましい子どもたちです。毎日の練習の成果であることは間違いありません。
これからもどんどん演奏の機会を増やしてあげたいと思います。
そして、最後は、やはりヴィヴァルディの合唱「グロリア」トランペットも入り、高らかに締めくくられました。
写真は、辻井淳さんとの練習風景です。
 
 
こちらはジュニアの演奏のリハーサル風景です。
 
 
アンサンブル・メンデルスゾーン
きのうは、久しぶりにコンサートを聴きに行きました。
ベルギー・日本友好150周年記念のコンサートで、アンサンブル・メンデルスゾーンのメンバーと日本人演奏家の方々が色んな形のアンサンブルを組んで、デュオ・トリオ・カルテット・クインテットと4曲楽しませていただきました。
ベートーベンのクラリネットトリオ、クラリネットの森さんはアコーディオン奏者でもあるというユニークな方ですが、滑らかな音色にうっとりしました。
この方、最初からずっとピアニストの譜めくりをされていてビックリ!
普通、演奏者は自分の演奏に集中したいので、譜めくりはなかなかしませんが、この方は余裕があるのだなと感動しました。
アンサンブルの皆さんが個性的で、パフォーマンス的にも楽しく、かつパワフルな演奏に暖かい気持ちになりました。
帰りがけ、皆さんのCDが並べられていたので、チェロのニコラさんのCD シューベルトの「アルペジオーネソナタ」を頂いてきました。
アルペジオーネは1800年代前半にウィーンで開発された、6弦とギターのようなフレットがついた楽器で、ギター・チェロとも言うそうです。
この楽器のために作られたシューベルトのソナタは、ヴァイオリンの楽譜も出ていて、一度聴くと忘れられないメロディなのです。
 
 
配達便コンサート
茨木市音楽芸術協会の催しのひとつ、あっちこっち配達便、先週は天兆園さんへ敬老会で伺いました。
デイサービスで通って来られる方へと、泊まって生活しておられる方へと、2回に分けて、フロアも変えて演奏しました。
最初のフロアには舞台があり、背景にはなんと、お能の舞台にあるような松が描かれていました。
その和風のしつらえの前で、フルート・ ヴァイオリンとピアノの三重奏での演奏です。
今回好評だったのは「蘇州夜曲」けっこう歌ってくださいました。もう一つ、「ライムライト」の曲も歌ってくださる方多数。
「紅葉」などの懐かしい曲はもちろん、やはり郷愁を誘うような曲がよいのですね。
あとで教えてもらったのは「宵待草」これもよさそうです。
嬉しかったのは、客席に、隣のおうちのお父さんがいらしたこと。週に数回、デイサービスに行かれているのは知っていましたが、天兆園さんだったとは!
また、機会があれば、伺います!
室内楽セミナー
暑い盛りのことだったのですが、すっかり秋になってしまいましたね。
写真がやっと入手できたので載せてみました。
昨年はシューベルトをさせていただきましたが、ことしはラヴェルのピアノトリオに挑戦。
シューベルトとはまったく違う時代、違う国の作曲家であることを痛感。
メロディの美しさに酔いしれながらも、ピアノと弦楽器が違う拍子で進む2楽章は、まったく気を抜けない展開でした。
その他、モーツァルトのピアノカルテットで、ヴィオラも弾かせていただきました。
ヴァイオリンとチェロの男性に負けないように頑張っていたようで、聴きに来てくれた小学生の生徒から、「先生、ヴィオラがカッコよかった。」と…
写真は、ラヴェルのものです。
 
 
打ち上げは、近くのタイ料理屋さんで、ビールがすすむこと、すすむこと…(;^_^A
門真ジュニアオーケストラ
コンクール
毎夏恒例の、京都こどものためのヴァイオリンコンクールが終わりました。
いつも、関西各地から、たくさんの生徒さんたちが京都を目指してこられます。
今年は、「楽しき人生」と、「エクレスのソナタ」「モーツァルトの協奏曲第4番」で、それぞれ、小3・小5・中1の生徒さんがエントリー!
「楽しき人生」は、色んな奏法が要求され、その上、ヴァリエーションのそれぞれの特徴を出す、という難しい曲。
「エクレスのソナタ」は、大人の感情移入が課題。
「モーツァルトの協奏曲」は、音階とアルペジオの基礎ができた上で、色んな場面を表現していくのが課題です。
みんな一番良い演奏ができたと思います。
やはり、目標があると頑張れますね。
私も、チューニングのお手伝い、楽しくさせていただきました。
もうひとつ、コンクールの楽しみは、同窓会になることです。
毎年7月にしか会わない先輩後輩と 話がはずむのです。
オルゴールの森
母の日に…
きょうは母の日。私の母は20年以上前に亡くなっているので、白いカーネーションを、と思ったけれど、今はカラフルなカーネーションが出ていて、目に留まったグリーンのカーネーションを用意しました。
 
 
思えば、ヴァイオリンを始めたのは、母の一言。。。
ピアノを物ごころつかない頃から習っていて、ラジオからはいつもクラシック音楽が流れていたのですが、小学生になった私に、ヴァイオリン習ってみる?と聞いてくれた光景は、今も覚えています。
両親とも音楽には無縁の仕事をしていましたが、コンサートにはよく連れて行ってくれました。
レッスンに一緒に行っていた記憶は殆どないのですが、家での練習は聴いてくれていて、感想を言ってくれたり、先生との連絡は密に取ってくれていたようです。
そのおかげで、ヴァイオリンに打ち込むことができ、この道をずっと歩いてこられました。
20数年前、具合が悪くなった母は、自分の葬儀で、ショーソンのポエムを弾いてほしいと言っていました。
でもその頃、まだ音楽葬は一般的では無く、ごく普通のお葬式になってしまいましたが、今なら、音楽葬で送ってあげられたと思います。
母の日が来ると、母の命日がすぐにやってくるのです。







